食べ物健康法

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フレッチャー健康法

アメリカの栄養学者、ホーレス・フレッチャーが自らの体験によって開発した健康法です。
といっても、特別難しい健康法ではなく、だれでも、どこでも、いつでもできる、きわめて簡単な食べ方健康法です。

@食事は、食欲が起きたときに摂ること。
A空腹でないときには、食事を摂らないこと。
B愉快で、楽しい食事の時間をもつこと。
C食事の前や食事中にやたらに飲み物を摂らないこと。
D食べたいと思うものを食べること。
E食べ物はよくかんで食べること。
F食べたくなかったら、途中でも食べることをやめること。
という、目新しいほどの健康法ではありませんが、習慣づけて実行すると、減量にも、体質改善や病気予防にも効果があるとされています。

消化・吸収にたいへんよい
食欲が起きると胃液が分泌され、腸の動きも活発になるため、前述の@を守ると、食べ物の消化・吸収が非常に効率よく行われます。また、下痢や便秘の治療としても、これは大原則です。
空腹でもないのに食事を摂ると、胃液の分泌や腸の運動が不活発なために、消化・吸収がきわめて悪く、また無理に血液を胃や腸に送るため、ほかの器官への血液のめぐりが悪くなり、不快感、不活発の原因ともなります。Aを守ることは、そうしたことを防ぎます。
Bの「楽しい食事」は内臓の働きを活発にします。ということは、栄養素の吸収が効率よく行えるということで、これも意外に忘れられている原則です。
食前のワインやビール、食事中のスープ、みそ汁は食欲を亢進させますが、食事中に水やお茶、清涼飲料水をガブガブ飲むと、胃液が薄くなり、消化が悪くなります。
Cは、とくに子供に守らせたい原則です。
Dは目で見たものを食べたいと思うのではなく、「からだが要求するもの」という意味です。からだが欲するものは、その人に必要な栄養素なのです。夏は酸味を、冬は甘味を求めるように、これは自然のバランスともいえます。しかし、決して偏食のことではありません。
フレッチャーは百回かみなさい、といっていますが、それほどではなくとも、Eは消化・吸収のために大切なことです。
無理に食べることは過食のもとです。とくに中年以降は、Fを守り、腹八分の原則を守ることが、成人病予防の第一歩となります。

規則正しい生活とともに
この健康法を実施するときは、まず規則正しい生活のリズムをつくることからはじめます。
・朝は食事の一時間前に起き、食欲を起させる。低血圧、便秘ぎみの人はもう少し早めに起きて、軽い運動をすると食欲が進む。
・昼間は昼食以外にはあまり間食をしないこと。潰瘍の人は牛乳程度にし、夕食を早めに摂ること。
・夕食はできれば太陽が空にあるうちが望ましい。夜遅く、寝る間際に摂ると、過食でなくても、栄養分が体内に蓄積されて、肥満の原因ともなる。
・忙しくても、せめて夕食は一家で楽しく摂った方が、からだの新陳代謝を活発にさせる。

都合のよいことだけを守っては逆効果に
フレッチャー健康法は、食生活の大原則ですが、かといって、生活が不規則なのに都合のよいことだけを守っては、かえってマイナス効果を生みます。
・食欲と単に目で見て食べたいものとを混合しないこと。
・「愉快で楽しい」とは、決して豪華で騒がしい食事ではなく、家族の心が一つになれる食事のことをさす。
・食べたいと思うものを食べることは、偏食という意味ではなく、体調にあったもの、という意味。
・食事を途中でやめるといっても、物を粗末にすることではない。